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活躍する卒業生

 1966卒
ステンドグラス作家 梶原 邦さん

元英国ステンドグラス協会フェローとして活躍し、 日田に帰られてからは草野理事長の母上、草
野覚子先生の紹介により、 豆田町でステンドグラス「覚」をされていましたが、現在は故郷大鶴
で、大作を次々と制作されています。 梶原さんのお便りを紹介いたします。

「ギルドの国の工芸とレベル」

 私の学んだ英国では、工芸を一般用語としてクラフト、芸術性の高い作品をアート、そして職人をクラフトマンと呼んでいる。 クラフトマンは誰でも物作る職人を指す。だが、名立たる親方に対して‘‘立派なクラフトマンですね!″と言うのは失礼にあたる。 正確には、クラフトの分野には身分制度があり、親方として頂点に立ち、師弟関係の中で統括する人をギルドと呼ぶ。 その存在を知る人が少ない。つまり、クラフトマンは多いがギルドの資格を持った人が少ないのが現実。伝統としてギルド制度_ロンドン・シティ・ギルド協会があり、 各都市に於ける美術技術大学の中で優秀な工芸家を育てる目的で、古い歴史の流れの中、学校現場にいつしか取り入れられてきた。
 
 他にも、王立芸術家連盟、各分野における協会、アカデミー等、個人の努力、研鑽向上によって更なる厳格な上級身分資格制度がある。 こうした中でも、ギルド制度は工芸品の品質保証、向上を目的に、中世の頃から今日まで継承されてきている最も封建的な歴史ある組合。

 各学校内では厳しいギルドへの技能検定試験がある。独自の工芸文化を生み出すことで、都市の繁栄、発展と共に役割を果たし果たしながら国の文化向上へと。 芸術が大きく寄与されてきている。

 ヨーロッパ社会は多くの隣国はひしめき合うモザイク国家。こうした意識下の中で生み出される競争原理主義が多くの作品を生み出し、世界中から人を呼びよせる。 作家として世に出ても、厳しい現実が待っている。公共建築物の仕事ほぼ全てコンペによる競争。 名立たる作家達がコンペ参加、時には十数名達と戦わなければならない。独自のあらゆるオリジナリティ、アイデンティティを提示、審査員の前で礼儀正しく、自己のデザインを解説アピールする。

 厳しい競争に勝ち抜いたギルド、或いは芸術家が、威信と誇りをかけて作品制作する。 選り優れた作品が多くの建築物の中で燦然と輝きを放つ。中世から受け継がれている組織、競争原理ら生み出される名作の数々。

 素晴らしい芸術品を目にする喜びと尊敬の裏には過当な競争がある。 ある巨匠が言う_名作は競争の中で生まれると。 

2015年8月 元英国ステンドグラス協会フェロー  カジワラ・邦


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