会員リレートーク
1975卒
丸岡伸比古さん
リレートークが図らずも私の元にやって参りましたので、喜んで足跡を残したいと思います。私の在学中、1972年度から1974年度の期間には、オイルショックによるトイレットペーパー騒動があり、神田川が大ヒットしました。パンダが日本にやってきたのもこの頃です。当時、私は国立一期校合格を目指し、勉強一筋、坊主頭の純朴な高校生でした。津久見から朝6時過ぎの列車で通学していました。時々SLが列車を引っ張っていた時代でもあります。卒業を控えて長髪にした頃、学生帽を被らず手で持っていたら、生徒指導の教師に叱られた思い出があります。
さて、いきなりですが、昨年の秋、古希を目前にして宮崎市に転居しました。宮崎市は妻の生まれ故郷ですし、私の青春時代の思い出が詰まった場所でもあります。太陽が間近に感じられ、この冬は暖かく過ごせました。毎日、広い空を眺め、野菜を育ててくれる大地に感動しています。実は2年前に定年を迎えた時、老後は第二の故郷で過ごすという選択をしました。正確には定年を迎えた、ではなく開業医という仕事を止め、残された時間を自分自身のために使おうと考えました。私を慕ってくれていた患者の皆様方にはお詫び申し上げます。
現在、男性の平均寿命は、おおよそ81歳です。一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命は、73歳です。言い換えると、自分で他人の手を借りずに、身の回りのことができ、社会生活ができる状態の上限の平均が73歳です。統計上の話ですので、多くの方は自分には関係のない話だ、と思うに違いありません。しかし、仕事柄多くの患者さんを見てきた私には、この数字は遠い日のことではないと感じるのです。
ところでbucket list(バケットリスト)という言葉はご存知ですか?「まだやったことがないが、死ぬ前に自分が是非したいこと」を列記したものをいいます。日本語では棺桶リストと訳されているようです。なぜbucket(バケツ)なのかと言うと、英語で死ぬことをkick the bucket(バケツを蹴る)と言いますが、これに由来したものです。さらに、なぜ死ぬことをkick the bucketというのか?これについてはググって(検索して)ください。面白いですよ。この棺桶リストを還暦の頃に作ったことがあります。「オーロラを見る、1年間留学をする、70歳でマラソンを走る」などなど、今改めて読むと青臭いものばかりです。今は「イラストレーターになる、これを足がかりにしてアニメーションを制作し、世界的なコンペティションに出品する」が、夢です。もっと荒唐無稽じゃないか、とツッコミが入りそうですが、既に第一歩を踏み出しております。
それからヴァイオリンです。30代の時、先生についてヴァイオリンを始めました。以後コツコツと練習した甲斐があって、自分で楽しむ程度には弾けるようになりましたが、棺桶リストにメンデルスゾーンのコンチェルトを弾く、というのを入れました。これについては、2年前に先生も弾くことを許してくれ、レッスンが始まりました。以後毎日ネチネチと取り組んでいます。まもなくやっと3楽章に入ります。死ぬまでに、なんとか仕上げたいものです。英語も好きですので、毎日リスニングに多くの時間を割いています。他にも、実はまだまだやりたいことがあるのですが、体力を使うことは今世では諦めて、スキーや山岳マラソンなどは来世に回すことにしました。来世があるものと信じています。
先日、大学時代の友人達と臼杵でミニ同窓会をした時のことです。以前からのフグをご馳走する約束を果たすためでもありました。翌日には臼杵の観光地巡りをしました。ヨーロッパの都市のような臼杵の街並みの造り、堅牢な臼杵城、仏の里にふさわしい臼杵石仏を目の当たりにして、彼らはこぞって感嘆の声を上げました。私も改めて、臼杵の良さを確認することになりました。友人たちも、将来に向けて多くの夢を語ってくれ、新鮮な刺激となりましたし、こう言って私を叱りました。「残りが10年しかない?冗談じゃない、あと30年ありますよ」老害とならぬように気をつけるようにします。
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